世界の人びと

世界の人びと

これからの日本は世界の人びと、とりわけアジアの民とは親しくすべきだ、と言うでしょう。ぼくがやっていることは、そのささやかな手助けだよ。だいたい、みんな銀行とか役所、F不動産は私たちF管理の親会社にあたり、中野とは旧知の間柄である。関東近郊のA市内の住宅地に造られたTマンションは、T興業が売り主で、F不動産が販売代理店としていっさいの営業活動にあたっていた。その関係で、私たちF管理がそのマンションを管理することになったのだ。T興業の武田社長は渋谷のマンションの一室に事務所をかまえているが、もともとはA市の出身らしい。初めはレストラン経営で成功し、やがて六本木に持っていた店舗を売却して、金融業・不動産業に転じたという。もっとも、マンションを分譲する不動産会社といっても、社員はこの営業本部長と事務の女の子二、三人しか見たことはない。「入居者はまだ少ないんで、引っ越しの日時の割り振りなんかはしなくてもいいでしょう」「そうですね。まだ二十二戸しか引渡し(註1)がないですからね」六十戸のマンションがまだ二十二戸しか売れていないのだ。「残りの三十八戸については売り主の所有ということで、とりあえず御社に管理費負担が発生いたします」「三十八戸分はとりあえずウチが払って、二十二戸はお客さんがそれぞれ払い込むということだね」斉藤営業本部長の言葉に、私は胸を撫で下ろした。



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